2015年3月8日日曜日

赤い電車


 私は鉄道マニアではなく、その手の知識は皆無だが、線路が見える場所に出るとなぜか気分がアップし、電車が来るのをじっと待つのが常だ。構図的に決まりそうだったらカメラも出す。


独占的軌道を5、60kmで走る電車が普通だと思っていた子供のころ、赤い電車にはじめて乗って恐怖を覚えるほどびっくりしたものだ。すぐわきに民家が迫った線路を最高100kmあまりで突っ走るのだから。もちろん速度計が見える運転席のすぐ後ろの位置に張り付いての実感だ。一緒に乗った友達によると速いのは「広軌」だからということだった。


 この私鉄は開業以来広い1435mm軌間を採用することで高速運行を可能にしてきたという。この1435mmというのは「国際標準軌」というものらしいが、標準というからには世界的にみると特に広い軌間というわけではなさそうだ。ちなみに新幹線の軌間も同じ1435mm。それでも在来線は1067mmなのでかなり広い。


この赤い電車の「パワフルな走り」は「すぐれた加減速性能」によるという。ただし「現在では昔ほどのスリリングな走行感は消え、静かで快適になっているが、その力強い走りは今も健在である」とのこと(「日本の私鉄」広岡友紀著)。


鉄道に詳しくもない一個人としての感想をいえば、デザイン的には車体は高級感も先進性もないごく庶民的な通勤電車というイメージだ。色は私がはじめて乗ったときからずっと赤で変わらない。私にとって、郵便ポスト、消防車、それにこの電車が定番の三大レッドだ。この赤、広岡氏によれば正確には「マルーンレッド」という色らしい。最初は「ダークバーミリオン」という色だったのだが(何色じゃね?)、1957年に「マルーンレッド」に変更され、以後その赤で通してきたようだ。

(「ダークバーミリオン」はダーク・バー・ミリオンと分節するのではなく、dark vermilionのようだ。つまり、暗い朱色。これって赤だよね。朱色って暗くしても赤だよね。色が変わったといっても、赤が別の赤になったということ? やることが高度)


以前の車両は車窓の下に白線が1本だけ入っていたが、最近の車両は車窓の上下部分全体が白くなっており、赤と白のツートーンカラーといえるほどだ。「赤い電車」度が危機的に下がっている気がして残念だ。さらに最近はときどき地味なブルーの電車も走るし、ごく最近はまれに黄色っぽい色の電車も見かけるようになった。去年あたりからだろうか。残念ながらこの黄色っぽい電車はまだカメラに収める機会がない。