スズメが死につつあるのだと気づいた。この時点でようやくカメラを取り出して撮影したのが上の画像だ。
スズメの体全体は完全な撥水性をもち、水に浮かぶのを知った。体重の分だけ水面を押し下げるので、スズメの輪郭の部分だけ水が変色したような模様になっている。
スズメは頭の部分を除いて首から尻尾まで薄い紙のように平べったくなって水面に張り付いている。翼を支える筋肉などがすでに完全に弛緩してしまったのだろう。
病死なのか寿命なのかはわからないが、外傷などはないようなので衰弱死なのはたしかだろう。寿命を迎えた老スズメと思いがちだが、意外と若いスズメなのかもしれない。スズメは飼育された場合の寿命は10年くらい、野生の場合の寿命はわずか1年から数年程度のようだ。野生ではヨボヨボの老スズメは存在しえないのだ。野生は過酷だ。
臨終に立ちあうのは小鳥といえどもなんともいえない気持ちになるものだ。寂寞感というか無常感というか。
もうひとつ。しばらく前の寒い日、道路脇の緑地に通された狭い歩道のうえでカワウが死んでいた。カワウは体長が80cmにもなる黒くて大きい鳥だ。外見も生態もかなり不気味感の強い鳥で、そんな大きな鳥が歩道の上に横たわっていてギクッとした。考えてみると、カワウが集まる水域が数百メートル先にあるので、この場所に存在すること自体はまったく不可解なことではない。死体としては存在して欲しくないだけだ。
上のスズメの目は開いたままだが、こちらは目を閉じており、そのためか不気味感はなく、むしろ天寿を全うしてあの世に召されたかのような実におだやかな表情に見える。
たまに野鳥の大量死がニュースで流れることがある。原因は不明で、現在調査中とされる。漠然と不安になるが、その後、その原因が明かされることはなく、視聴者のほうでもニュース自体をきれいに忘れてしまう。あちこちで大量死が連鎖的に起こるのなら原因の究明が必要だが、単発的な出来事であれば、大量死でも無視してよいレベルの事態なのだろう。ましてや、スズメやカワウの1羽や2羽・・・というわけだ。
こちらは生存中のスズメ。太っているのではなく、寒いので羽毛を膨らませているところ。 |