片方だけのくつは無用なものだが、それがないと持ち主の手元にあるもう片方も無用化してしまう。発見したのが上のアンパンマンのくつのように真新しい場合だと、他人事ながら心が痛む。親切な人は車に踏まれたりしないように、くつを道路端に置き直したり、目立つ位置に上げたりするようだ。
しかし、なぜ片方なのか。幼児の行動には謎があるから、本人が謎の理由でくつを片方だけはいて家に戻ることがないとはいえない。それでも、幼児の行動範囲は狭いので、なくなった片方のくつの捜索と回収は比較的楽なのではないか。
こう考えると、もっとも考えられる原因は、幼児を自転車に乗せていて、なんらかの拍子に片方のくつが脱げてしまうケースではないか。この場合は、1kmや2kmは移動した可能性があるので、探すのはたいへんだ。
1枚だけだが、片方だけの大人のくつも撮ったことがある。こちらは海岸が発見場所なので、海流によって左右のくつが離れ離れになってしまった結果だろう。大きな客船の乗客が誤って海に片方のくつを落としたが、そのために客船を止めるわけにはいかず、そのくつが海岸に流れ着いたということもありえないわけではない。この黒いくつがはたして水に浮くかどうかは不明なのだが。
個人的には、片方だけなくして困っているのが手袋だ。最近になってよくなくすようになった。原因はわかっている。カメラだ。外出時にカメラを持ち運ぶ習慣がついてからなくすようになったのだ。手袋をしたままではカメラは操作しにくいので、頻繁に手袋を外すことになり、それに比例して紛失の機会もおのずと増えるということなのだった。