睡眠というのは厄介だ。健康関連の記事や番組では病気の解説の後、予防法が箇条書きで示されるが、その定番となるのが、「十分に睡眠をとる」という一文である。不十分な睡眠は多くの病気の元であり、多くの病気の友なのだ。テレビを点けるとフィギュアスケートの選手が「1に睡眠、2にストナ」といっている。風邪薬のCMだ。
「十分な睡眠をとれ」といわれても、こちらにできることは、十分と思われる睡眠に当てるための時間を確保することだけだ。それで十分な睡眠の量と十分な睡眠の質が保証されるわけはない。ここで「安眠」という睡眠の理想形が出てくる。
「安眠」のための条件とはとりあえず、室内であること、静寂であること、暗いこと、寝具があることという4つではないか。私の場合は、この4条件の1つが欠けても睡眠に大きな支障となる。
外で眠るということはこの4条件の1つや2つではなく、驚くことにそのすべてを欠いた状態で眠るということだ。屋外での睡眠というのはまさに尋常ならざる特技としか考えられない。うらやましい限りだ。
以前は安眠のための寝具は高額な掛け布団というのが定番だったが、最近ではやれ枕だ、やれマットだといわれるようになった。高額な掛け布団、枕、マットの3点セットならパラダイスのような「安眠」に導かれるのだろう。うらやましい限りだ。
人体というのは充電式のバッテリーのようなものだろう。この動くバッテリーはいろいろな要素で充電されるわけだが、その主力となるのが睡眠というわけだ。いつでもどこでも眠れるという人は常に自らをフル充電状態にできる人という気がする。いつもポテンシャル切れの私としては、うらやましい限りだ。